À 元々は、ラ・モットゥ・カントナックの昔の荘園に、要塞化された城が建っていました。12世紀築のこの建物は、それから5世紀後、エスノー男爵がこの領地を手に入れた時に取り壊されました。
男爵はその跡地に現在の大邸宅を建てさせましたが、かつて防御拠点であったことを彷彿とさせる堂々たるポーチ、塔、堀と共に、中世の美を見事に保っています。1644年に建造された城壁が今なおぶどう畑を取り巻いています。現在も居住者がいるシャトーは、何度も改装を重ねられました。1970年には、クルーズ家が行った改修工事によって、シャトーはフランスの歴史的建造物に登録されました。
隣り合った塔が7つの尖塔を誇らしげに天へと突き出し、
丘陵のふもとに堂々と建つ、
スレート屋根を頂いた古い城館。
まるでその場所に君臨する黒っぽい巨人のように…。
それがシャトー・ディッサンだ。
M. P. Biarnez
アペラシオン「マルゴー」の中心に位置するシャトー・ディッサンは、立地条件に恵まれているため、素晴らしいワインが生まれます。海と河口に近いことによる温暖な気候は、ぶどうの成長に理想的な条件になります。一方、土壌は、高さ15メートル以上に達する、浸食作用によってなだらかになった河川礫層の円い頂と沖積層の丘で構成されています。
この土地は水はけが早いために、ぶどうの木は地中深くに根を張り、シャトー・ディッサンの特徴となるあらゆるものを取り込むようになるのです。
アンシャン・レジーム時代のぶどう園から残っているものは、ほとんどありません。悪天候や戦争、フィロキセラ禍によって、数世紀の間にワイナリーは大きな打撃を受けたからです。平均樹齢35年の現在のぶどうの木は、主として1945年以降にクルーズ家が行ってきた立て直しの努力の成果です。
それ以来ぶどう畑には、主にカベルネ・ソーヴィニヨンが植えられています。メドックの花形であるこの品種は、ワインに骨格とブーケ、そして長熟のための可能性を授けます。残りのぶどう畑は、アッサンブラージュによってワインにまろやかさとしなやかさを与える品種、メルロで構成されています。
カベルネ・ソーヴィニヨン 65% / メルロ 35%